コミュニケーションへの意欲が消えました

お題「#この1年の変化」

 

受験、大学進学、一人暮らし、パンデミック、がいっぺんにやってきた私の2020年は、けっこう大荒れだった。それでもちょっと前までは、同大同学年の友達はみんな似たような境遇だから、そんなもんかと思っていた。とはいえ、こんだけ日常がひっくり返るような年はだいぶレアだろう。

 

まず、暮らしが変わった。一人暮らしを始めた、大学という新しい環境に身を置いた、だけでも大きな変化だが、今年は大学に行けない年だった。友達は数人。下宿の近くには気軽に誘える友達がおらず、家でずっと一人で過ごした。

一人で、たくさん本を読んで、映画を見た。誰とも会わずして、人間の感情の豊かさや多様さを知ってしまった。それはある意味、すごく怖いことでもあるけれど、総じていいことだったと思う。孤独の中で、誰に気を遣うこともなく自分に正直にいられた。人目を気にせず笑った、泣いた。日々の中で上澄みを漂っている感情とはまた違った、その奥底で息をひそめていた感情たちとの豊かな出会いを、心から楽しんだ。

コロナがやってこなかったもう一つの世界では、バイトに部活にただ疾走していただろう自分。そこでは体験しえなかったであろうひとりの日常が、とってもかけがえのないものだなと思っている。

 

ただ、ひとりの居心地の良さに気付いてしまったことは、「これまで」的な場面において暗い影を落としてもいる。初めましての友達と会う時、前なら絶対に自分から声をかけていた。仲良くなって、自分の見える世界を広げることがすごく素敵だと思っていたからだ。グループワークでも一番に声を発するし、当たり障りのない話題で場を回すことも得意だった。

ただ今は。隣に人がいても、別に仲良くなりたいとか思わない。話しかけたところで何をしゃべったらいいのか分からないし、そこそこの関係になったところで、気を遣ってまで人と関わるのは面倒ではないか。話しかけてくれたらにこやかに答えるし、仲良くなるのが嫌なわけでは決してないけれども、自分からそれを取りに行くエネルギーを失ってしまったように思う。

この変化を、「無理せず楽に生きられるようになった」「孤独を愛する本当の自分(?)が顔を出した」と前向きに捉えることも、「自分の殻に籠るひねくれものへの第一歩」「人に関心がない冷淡野郎」と後ろ向きに捉えることも、どちらも間違っていない。

コロナ君が私に与えた変化は、果たしてどこへ流れつくのでしょうか。